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2012-06-25 02:19 | カテゴリ:コンサートレビュー
6月17日(日)に、天理高校の定期演奏会に行ってきた。
今年は天理楽朋会が70周年だそうで
その記念のため、かなり豪華なゲストが顔をそろえたオトクな演奏会。

日本のトッププレーヤーであるSax奏者の平原まこと氏と、「ゆうがたクインテット」でおなじみのアキラさんこと宮川彬氏。

この二人のステージの模様は後ほど…。




さぁ、まず1曲目のオープニングは、これぞ宗教の学校、天理!という
『おやさと大行進曲』
この曲は、かの有名な大作曲家、團伊玖磨が作曲したそうで、天理の歴史と威厳を感じる幕開け。
式典で演奏しなれているのか、とてもサウンドが明瞭で無駄がなく聴きやすかった。


さて2曲目はオリジナル作品の
『The rebieth 《復興》』
最近話題のこの曲は、保科洋が作曲した阪神淡路大震災後の復興をモチーフにした作品。
先日から高円・奈良市吹の演奏を聴いてきたが、やはり天理は全く違う次元で別世界。
最初のクラの単調で短調な旋律もエネルギーがみなぎる。
曲が進むにつれ音の厚みが増していき、頂点では完璧なサウンドコントロールの見える強奏で聴衆を圧倒。
この曲では特にティンパニとバストロの秀逸なテクニックとサウンドが印象に残った。

この次はステージを総入れ替えしてJ組メンバーでの演奏。
『交響詩「フィンランディア」』は、
自分も中学生3年の時に演奏した思い出の作品。
実はこの時同学年だった友人が天理に行き、再びこの舞台でTimpを叩くという偶然もあり期待していたのだが、さすがにひとつ前にA組の音を聴いてるだけに聴き劣りはするもののサブメンバーとは思えないサウンドで、この学校の人員の厚さを知った。

そして再び入れ替えをした後は今年の自由曲だという、
矢代秋雄作曲の『交響曲』
この曲は日本フィルハーモニーの委嘱作品でバリバリの現代曲であるが、強烈な印象を残すこの曲はまさに天理の雰囲気や音楽性にマッチしていたと思う。
他の曲とは比べ物にならないレベルと完成度で、吹き手の意識的にもかなり充実した曲への理解がみられる演奏。
この難曲で今年のコンクールでもいい実績を願うばかりである…。



休憩をはさんで2部の幕開け。
緞帳が上がると、舞台にはピアノと椅子と譜面台だけ。
そして出てきたのはなんとゲストの二人のみ。
2部のテーマは『アキラさんとまこと君 ふたりのオーケストラ』

まずは、平原氏のソプラノSaxで
『風のオリヴァストロ』
意味は、〈オリーブの風〉らしい。
美しいピアノと暖かい純粋な音のソプラノが絡み合う音楽が心を動かす。
この二人の世界が一瞬にして会場の空気を飲み込んでしまった…

このステージは演奏も喋りも含めてすべてが1つのSHOWであり、アキラさんの話術が早くも炸裂し、平原氏のクールなキャラとアキラさんの変人キャラが笑いを誘う。

2曲目は有名な『ニューシネマ・パラダイス』
住宅販売のCMでも使われている曲も入った、「どこかで聞いたことのある」曲ばかり詰まった《美しい!》を200個並べても言い足りないほどBeautifulな演奏…。
お洒落で綺麗で、これがオトナの音楽なんだ。と、思った。


しっとり系の曲の次はいよいよアキラさんの編曲スペシャル!
まずはあの有名な童謡『サッちゃん』を、テナーSaxをフィーチャーしたJazzアレンジで。

「サッちゃん」をナメてはいけません…。ナメては、いけませんよ…。
と忠告したアキラさんの言葉通り、メタルのマウスピースなのに太く太く息が溢れるほどの暖かい音と共に、柔らかに艶を出すピアノが、見事なまでにお洒落で美しい「サッちゃん」を生み出す…。(笑)
これを聴くと「サッちゃん」は、どこか夜のバーでゆっくりお酒を飲んでいる女性だったのかと勘違いしてしまうほどのピッタリさ(笑)

だが、実はこの曲、歌詞にいろんな説があり、普通は3番までが主流のようだが、10番説、99番説など幅広い。
また、都市伝説も多くあるようで、相当怖いのもあるという。
興味のある人は調べてみてもいいかもしれない。

ところでこの曲の3番の歌詞で、

 サッちゃんがね 遠くへ行っちゃうって ほんとかな
 だけど ちっちゃいから ぼくのこと 忘れてしまうだろ
 寂しいな サッちゃん


というのがあり、この「寂しいな」ってところのフレーズがアキラさんがとてもお気に入りのようで、平原氏の歌いまわしに泣きそうになっておられた(笑)
確かにこの辺の少し寂しげな感じが、Jazzのブルースを引き出すのかもしれない…。




続いても、ナメたらあかん童謡シリーズで『あんたがたどこさ』を。
まず、この曲にはある1部分で、不可解なところがあるという…。
歌詞は以下の通り。



 あんたがたどこさ 肥後さ
 肥後どこさ 熊本さ
 熊本どこさ 船場さ
 船場山には狸がおってさ
 それを漁師が鉄砲で撃ってさ
 煮てさ 焼いてさ 食ってさ
 それを木の葉でちょいとかぶせ




さぁ!このなかでおかしいところ…。


そう!最後の一行!
ひとつ前の歌詞との意味がつながらないのだ。

木の葉でかぶせる「それ」とは?
食ってから…何があってこれにつながるのか。
それをアキラさんが考えました!
その内容が…(笑)

アキラさんいわく、「つまり、煮て、焼いて、食うと、食べられた狸くんはまず食道を通り、胃の中で消化をされ、そして十二指腸を通って小腸、大腸、直腸へと進み…!?
そう、ポトンっ!っとなるわけですよね(笑)
そして…。

それを木の葉でちょいとかぶせ~♪

になるのです!!!」
(観客拍手!笑)

なるほど(笑)
そういうことだったのか。

この、「作詞者が隠さなければいけなかった部分」を、特に力を入れてアレンジした渾身のあんたがたどこさ。その演奏は…!?


ノリのいいスウィングな感じで始まり、

♪あんたがったどっこさ~ひっごさ~……

出だしは至って順調♪
しかし問題の部分へ来ると…!
平原氏のSaxから「ギョオォーーー!ギュルルルル~!ギュア!ギュオ!」と、
身の毛もよだつ、気持ち悪い音がしばらく発せられ続け…。
いつしか平原氏は客席を走り回り、客にベルを押しあて、ありったけのギャオギャオを振りまいた後ステージに戻ってきて、「それを木の葉でちょいとか~ぶ~せ。」と締めくくられました…(笑)

なんという壮絶な曲(笑)


この曲を聴いた限りで僕が想像したストーリーは、


やっべぇ!腹こわした!
ト、トイレどこや?
な、ない~‼‼ パニック!
あっ!見っけた! ダーーーッシュ!
え?まじで? し、閉まってるぅ~!(泣)
ドンドンドンッ!

あ、空いたーーーーーっ! 駆け込む!

…ギュオー!ギャオ!ギュルルルル…。

ふぅ~
ホッと一息…。



のようなストーリー(笑)

こんな下品な曲にされてしまった童謡であった…(笑)



さぁ!そんな童謡シリーズの次は、雰囲気をがらりと変えて、平原氏作曲の『La Belle Pomme』
天理高校の校内放送かなんかで実際に流れているという曲らしく、周りの天高生が、「あ、これ聴いたことあるわ」という反応をしていた。
これもまたメロメロに美しいメロウな曲
こんな曲が流れるなんて、羨ましい学校だ…。



そして、この2部いよいよ最後の曲が、 『アリエスの星』
アリエスという少年が星を追いかける…。
というようなストーリーだったような記憶があいまいなのだが、疾走感とその中にロマンチックな星空の響きが混ざる、リアリティー溢れる素晴らしい作品。

ふたりのオーケストラ。まさに、満喫。


この2部のアンコールに演奏したのが、NHKで人気の番組、『ゆうがたクインテット』のテーマソング!
なんとこの曲、平原氏はクラリネットを吹いていた。
後でわかったことだが、あの「ゆうがたクインテット」のクラリネット奏者「フラットさん」は、実は平原氏が演奏していたらしい。
これまたビックリな話であった…。



さぁ、そして再び吹奏楽部ステージにもどるが、
3部の1曲目は『行進曲「希望の空」』

今年の吹奏楽コンクールの課題曲4番だが、この演奏は僕に大きな衝撃を与えた。
出だしのファンファーレの後、Aメロが始まるが、木管群のアーティキュレーションが結構長め。
「わりと丁寧に吹くんやなぁ~」と思っていたら、Bメロで同じ旋律をTpが吹き始めると、なんとアーティキュレーションがめちゃめちゃ短くはっきりと変わる!
同じ旋律なのに、吹き方ひとつでこんなにも明るさが変わるのかと感動した。
Trioではクラの秀逸な音色と歌いまわしで、曲の作りの薄さを感じさせず、Tb,Tuの打ち込みの和音がオルガンのようにハマる、本当に「気持ちイイ」演奏。
その後の再現部でも、決して吹きすぎず、でもしっかり鳴らす、という絶妙なサウンドコントロールの行き届いた完璧な演奏だった。

ここから指揮を宮川氏が担当。
まずはご自身のオハコでもある『組曲「宇宙戦艦ヤマト」』
お父さんから受け継いだこの曲を、天理サウンドと共に鳴らし切っていた。
随所に現れた平原氏のソロも逸品。

そしてこれも大ヒットを生み出した『マツケンサンバⅡ』
これぞラテン!!と言わんばかりにはっちゃけ、直管が鳴らし、パーカッションが叩きまくる!
宮川氏は、もう指揮というよりダンスといったほうがいいくらいノリノリに踊っていた(笑)
これだけうまいバンドでやると、さぞ気持ちいいことだろう。



再び指揮が吉田先生に戻った後は『ご長寿番組大メドレー』
テレビの名作傑作20曲、と副題がついているこの曲は、

キューピー3分クッキング/世界・ふしぎ発見!/水戸黄門/くいしん坊!万才/ミュージック・ステーション/世界の車窓から/鶴瓶の家族に乾杯/徹子の部屋/渡る世間は鬼ばかり/ミュージックフェア/小さな旅/よしもと新喜劇/笑っていいとも/きょうの料理/パネルクイズアタック25/ライオンのごきげんよう/笑点/サザエさん/バラエティ生活笑百科/NHKのど自慢

の曲が、まぁよく見事にこんなにもうまくつなげたもんだ!
と感嘆するほどのメドレーで、花道で曲紹介のカンペをめくっていた黒子がちょくちょく小芸を挟むのもおもしろかった。

そしてこの日の最後のプログラムは『ボルサリーノ』
映画音楽であるこの曲は、岩井直溥の編曲で素晴らしいメドレーになっているのだが、天理高校はそこにさらに、名物パーカッションソロを入れるのだ。
途中でいきなりマーチングBDを持って5人が入ってくる。
そして見事なパフォーマンスを披露し、去っていく…。
まさに、花形!ともいえるこのパフォーマンスで、
しっかりとお客さんのハートをゲットしたに違いない。


『ボルサリーノ』天理高校




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